RileyBell’s diary

自由に、気の向くままに

【パリのアパート/파리의 아파트】ギヨーム・ミュッソ

f:id:RileyBell:20181220202852j:image

 

ギヨーム・ミュッソ」という作家を知っていますか?

フランスのベストセラー小説家で、韓国ではとても人気の高い

作家です。

 

グーグルで検索してみたところ、韓国の教保文庫が行った

2006~15年までの小説累積販売量を基準としたランキングで

堂々の2位に輝いていました。

 

今日はそんなギヨーム・ミュッソが2017年に出版した長編小説「パリのアパート」についてのレビューです。

(私は今回この本を韓国語の翻訳本で読みました。日本語による翻訳は未定のようです。)

 

[あらすじ]

 まったく違う目的でフランスを訪れた劇作家のガスパールと元警察官のマデリーンは、不動産会社の手違いで同じアパートがダブルブッキングされていたことを知ります。アパートの持ち主である画廊のオーナーに状況を問い詰めに行ったマデリーンは、このアパートの元住人が壮絶な人生を送った後、1年前に心臓発作でこの世を去った有名な画家ショーン・ロレンツだと聞かされます。そして、何者かに拉致された彼の息子と、彼が生前最後に描いた幻の絵の存在を知った二人は、それを探す冒険に出かけるのでした。

 

[感想]

ギヨーム・ミュッソの長編小説は、複数の国や都市を縦横無尽に走り回り1冊の本の中に壮大な世界が詰め込まれている印象を受けます。

私がこれまで読んできた小説は大抵、現職の警察官が主人公に出てきました。そのため道具や証拠を集めたりするシーンでは主人公の行動からも自信が感じられ、安心しつつもハラハラドキドキしながら読むことができました。ですが、今回は劇作家と元警察官です。二人がどんな答えを導き出すのか、興味深々でした。ガスパールは劇作家というだけあって、時にはショーン・ロレンツの気持ちになって、ショーンの子供の気持ちになって、色々なヒントを導き出します。

対する元警察官のマデリーンは警察官の頃に培った勘や冷静さで、答えを導いていきます。

 

また、この小説では親と子、特に父親と子の関係が大きなテーマとなっているところも興味深いポイントでした。これは、作家のギヨーム・ミュッソ自信が実生活で父親となったことが影響されていると言われています。幼いころに父親との関係で傷を負った子供たちが自信が大人になったとき、周りの人たちや自分の子供とどう関わっていくのかということをとても考えさえられました。

 

ところどころに登場人物たちの残した手紙や日記と思われる

内容があるのも面白いなと思いました。その文章そのものが本編の中で扱われることはないのですが、そこに書かれている事実そのものは

物語の内容とリンクしています。その文章を通じてこの先に明らかになる事実を、読者だけが先に知るというのは今までにあまり見たことのない手法でした。

 

この本自体はまだ日本で翻訳されていないようですが、ギヨーム・ミュッソの他の翻訳本はいくつかあるので、下に貼り付けておきます。

では、また。

 

[rakuten:rakutenkobo-ebooks:16852820:detail]